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磯部 博志; 日高 洋*; 大貫 敏彦
Mat. Res. Soc. Symp. Proc., 506, p.687 - 694, 1998/00
ウランや鉛は、地球化学的条件により移行挙動が左右され、鉛の同位体分析によってその移行についての年代学的な情報が得られる。本研究では、クンガラ一次鉱床の試料についてSIMSによる鉛同位体分析を行った。一次鉱床のウラニナイトとウラニル鉱物の鉛同位体組成は一致し、その年代は約11億年である。ウラニナイトの年代は正しいと思われるが、ウラニル鉱物の年代は化学組成からは約2千万年以内と推定される。これは、一次鉱床領域全体で鉛は閉じているが、ウランの壊変による損傷と再結晶過程でウラニル鉱物は常に鉛を交換していることを示している。一方、鉱床外部の硫化鉱物は形成時の鉛同位体組成を保存している。11億年以降鉱床からの鉛の供給がなかったとすると、その前後約1億年間に鉱床から移動した鉛が硫化鉱物を形成した可能性がある。鉛の移行挙動は約11億年前に大きく変化したものと思われる。
鈴木 洋平*; 村上 隆*; 小暮 敏博*; 磯部 博志; 佐藤 努
Mat. Res. Soc. Symp. Proc., 506, p.839 - 846, 1998/00
ウラニル鉱物はウランの壊変などに起因する性質やpH,Eh依存性などにより、それが形成した地球化学的条件や年代などの重要な情報をもたらす。本研究では、サレアイト(Mgウラニルリン酸塩)とメタトーバナイト(Cuウラニルリン酸塩)の形成過程に関する結晶化学的条件について報告する。サレアイトは、室温または30Cで湿度によって可逆的に水和と脱水が起こる。電顕観察によると、サレアイトとメタトーバナイトはそれぞれ独立に形成されたと思われる。結晶層間の水分子とMg,Cu間の距離は10%以下しか違わないが、局所的な構造の違いによりこれら2つの鉱物は別の層として形成し、複合層や固溶体を作らない。この結果から、他のウラニルリン酸塩についても同様に固溶体や複合層の形成は起こらないものと思われる。